[ログ] 『「Echo」概要』
- Toma Higa
- 1月10日
- 読了時間: 4分
『コードネーム「Echo」』
民間軍事会社の中でも特に「人を選ばない」ことで一部で重宝されている部隊の一員。彼は優れた体格と生命を「平等」に扱える優秀な傭兵であった。
彼は「Echo」の名前で識別されていた。
某区域での戦闘によって瀕死の重傷を負い、戦力として数えられなくなったため、研究施設に供与される。
彼は正式な戦闘員として認められておらず、数多の戦闘行為に参加し利益を得ていた人物である。
彼の身分を保証する公的な文書は存在せず、企業が彼の保証人である。企業は「Echo」の身体を素体とした戦闘兵器を研究、開発することを認めた。
彼を素体とした戦闘用兵器を『開発コード:Echo』もしくは『Echo』と呼称する。
傷病
・手足の欠損
・内臓の損傷および欠損
・左側頭部を中心とした広範囲に及ぶ火傷
・左耳介、左目の全損
・全身に銃創、切創、擦過創など多種多様な傷痕
『開発コード:Echo』
「彼を失うのは我々にとって惜しい。できることなら彼のような戦力を維持したいものだ」
「Echo」が所属していた企業の担当者の要望だ。
「開発コード:Echo」の研究、開発は双方に有益であるとの見解で一致。契約を締結した。
非常に興味深く有益な開発となると確信しているが、生体を素体とするのは新しい試みであるため互いに「運用に値しないものとなっても不利益を不問とする」といった主旨の条文を契約書に記載した。
ヒトの生体をベースとする理由は二点ある。
一つはヒトの形を模したものを破壊することは心理的な抵抗が働くという観点である。子供や女性である方が好ましいが、運用の性質上やはり成人男性を採用したい。
もう一つはヒトを模した高度なロボットを一から構成することが非常に難度が高いという点である。これはいずれ克服しなければならないことだが、現状ヒトの動きや思考を完全にコピーできる技術は悔しながら我々は所持していない。そのため人体の機能を拡張する試みとしてヒトの生体をベースにすることを考えた。
まずは「Echo」の身体を補完する必要があった。
脳の電気信号に反応する義手、義足の開発、これは比較的順調である。
左側頭部の損傷について、これが難題であった。
特に脳に若干の損傷が見られたことが問題であった。そこで我々はかねてから研究、開発していた脳の代替となる精緻な機械を「Echo」に搭載することとした。これは脳の機能を補う他、感情規制システムと倫理システムを搭載している。これは作戦行動中により効果的で合理的な判断を下すと共に、精神的な負荷を軽減しストレスによる機能不全を防ぐためのものである。
これを脳と相互作用するように……[編集済み]に使用し、動作した例はあるがヒトに使用するのは初めてであるため、その記録を得るためにも「Echo」に関する記録は詳細にとることとする。
全損した左耳、左眼に関して、機能の補完だけでなく拡張も視野に入れる。
左耳は耳介も全損しているため、耳を模造するよりも集音機能の他通信機の機能を持たせ、聴覚情報に関わる機能を拡張させる。
左眼はカメラとセンサーを仕込み、視覚情報の大幅な拡張を試みる。情報の処理は脳の代替機器によって行い、その結果を本体及びモニタリング室へ伝達、送信される。
画期的で実験的な試みを搭載した『開発コード:Echo』が我々の研究、開発している生物型戦闘兵器の発展に貢献することを望んでいる。
『開発コード:Echo』に関するメモ
・彼は生体ベースのヒト型戦闘用ロボットである
・身寄りもなく、正式な身分も持たない人間を素体としている
・生物型戦闘兵器のシリーズのひとつである
・運用にあたって感情を完全に制御できることが望ましい
・試験中のため問題が発生した場合はデータを収集した後、処分すること
・逃走した場合は[編集済み]すること
『シリアルナンバー89:Echo』
開発を経て運用に耐えうる性能を得た生体ベースのヒト型戦闘用ロボット「シリアルナンバー89」シリーズ。
人間の兵士と同じように戦術に組み込むことができる自立型戦闘用ロボットである。
「シリアルナンバー89」には感情規制システムを搭載。これはシーンによって感情の感度をコントロールするシステムである。このシステムを搭載することで戦闘行為における心理的負荷を最小限にする他、他者の感情を考慮した言動をとることで作戦の遂行、部隊内のコミュニケーションを円滑に行うことが可能だと見込んでいる。
また、意思決定と作戦行動の補助のために倫理システムを搭載している。人間の思考により近づけることで相手の言動を予測し、より効果的な選択を行うことができる。なお、倫理システムは感情規制システムの併用が必須である。
稼働個体は長距離通信によるバイタルの観測を実施し、異常値を出した場合には司令室から制御できるように設定できる。
「Echo」は「シリアルナンバー89」シリーズのオリジナル個体である。